行動に関する用語

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応用行動分析学(Applied Behavior Analysis; ABA)

行動分析学の1分野であり、行動の原理を実際の問題解決に応用する学問を指します。

環境(Environment)

行動に影響を与えるすべての外的な条件や刺激のことを指します。環境は行動分析学において、行動の原因や結果を理解するための重要な要素とされています。

強化子(Reinforcer)

強化子(Reinforcer)とは、応用行動分析学(ABA)の文脈において、ある行動が生じた直後に提示または除去されることで、その行動の将来的な生起頻度を高める機能をもつ刺激(物理的・社会的・活動的など)や出来事を指します。

例えば、おやつやおもちゃといった物理的な報酬だけでなく、声掛けや称賛などの社会的な働きかけ、好きな活動の機会そのものが強化子として働くことがあります。

強化子の機能は、学習者(もしくは対象となる有機体)が実際にその刺激を「行動の直後に得られる結果」として経験し、その結果として行動が増加するかどうかによって確かめられます。

キュー・合図(Cue)

キュー(合図)とは、応用行動分析学(ABA)において、特定の行動を引き出したり促進したりするために与えられる刺激や信号を指します。

キューは多くの場合、弁別刺激(SD)の一種として機能し、目標とする行動を行うタイミングや方法を明確にする役割を果たします。たとえば、言語的な指示、視覚的な手がかり(写真や絵カードなど)、身体的なガイド(手首や腕に軽く触れて行動を促すなど)、ジェスチャー(指差しや手振り)などがキューの具体例に挙げられます。

キューの提示によって学習者は「今、この行動をする機会であり、行動を行うと強化が得られやすい」ということをより明確に認識でき、適切な行動の生起頻度を高めることが可能となります。また、支援者はキューを段階的に減らしていく(プロンプトフェイディング)ことで、最終的には学習者が自発的に行動できるように介入を調整します。

結果事象(Consequence)

結果事象(Consequence)とは、応用行動分析学(ABA)の三項随伴性(A-B-C:先行事象–行動–結果)において、ある行動が生起した直後に生じる出来事や刺激の変化を指します。

結果事象は、その後の同様の行動の生起頻度を増減させる重要な要素となります。具体的には、行動の直後に生じる「好ましい刺激の提示や除去」「好ましくない刺激の提示や除去」が該当し、これらが強化や罰などの形をとって、行動の将来的な出現可能性に影響を与えます。

ABAでは、結果が行動と密接に関連づけられているほど、行動を変容させる効果が高まると考えられており、行動介入を設計する際には、望ましい結果(例:強化子)をどのように提示または除去するかが非常に重要な検討事項となります。

行動(Behavior)

行動(Behavior)とは、応用行動分析学(ABA)の文脈において、環境との相互作用において、観察可能かつ測定可能な変化や活動を指します。具体的には、身体の動き(発声、移動、操作など)をはじめ、客観的に記録できる一連の反応を含みます。

ABAでは行動が環境の影響を受けて変化し、その変化を体系的に測定・分析し、適切な介入を行うことで、望ましい行動の促進や問題行動の減少を図ります。

行動は、三項随伴性(A-B-C:先行事象–行動–結果)の一部としてとらえられ、先行事象と結果の両方から制御されるという点がABAの重要な特徴の一つです。

行動分析学(Behavior Analysis)

生物の行動とその環境との相互作用を科学的に研究する学問分野のことを指します。

正の強化(Positive Reinforcement)

行動の直後に好ましい刺激(多くの場合、学習者にとって望ましい物や出来事)を提示することによって、その行動の将来的な生起頻度が増加する随伴関係を指します。

ここでいう「正」とは「刺激を提示する(加える)」ことを意味し、「強化」は「行動の頻度や強度を高める」ことを意味します。

正の弱化(Positive Punishment)

行動の直後に嫌悪的あるいは不快な刺激を提示することによって、その行動の将来的な生起頻度が減少する随伴関係を指します。

ここでいう「正」は「刺激を提示する(加える)」ことを意味し、「弱化」は「行動の頻度や強度を低める」ことを意味します。

先行事象(Antecedent)

先行事象(Antecedent)とは、応用行動分析学(ABA)の三項随伴性(A-B-C:先行事象–行動–結果)の枠組みにおいて、ある行動が生起する直前に存在・提示される刺激や状況を指します。

具体的には、個体の内的状態(空腹や疲労など)や外的環境(指示、課題、周囲の人や物など)、さらに直前に起こった出来事や文脈などが含まれます。

先行事象は行動の生起頻度や形態、強度に影響を与え、行動を誘発したり抑制したりするきっかけとして機能するため、行動を理解し、効果的な支援や介入を設計するうえで非常に重要な要素とされています。

負の強化(Negative Reinforcement)

行動の直後に嫌悪的あるいは不快な刺激(学習者にとって望ましくない物や状況)が除去または回避されることによって、その行動の将来的な生起頻度が増加する随伴関係を指します。

ここでいう「負」は「刺激を取り除く(取り去る)」ことを意味し、「強化」は「行動の頻度や強度を高める」ことを意味します。

負の弱化(Negative Punishment)

行動の直後に学習者にとって好ましい刺激(強化子)が取り去られることによって、その行動の将来的な生起頻度が減少する随伴関係を指します。

ここでいう「負」は「刺激を取り除く(取り去る)」ことを意味し、「弱化」は「行動の頻度や強度を低める」ことを意味します。